PUNISUKEのブログ

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テレビについて(夢について)

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芥川龍之介は短編「芋粥」の中で、夢は夢のままにしておくことが一番幸せだと説いていた。僕はそれを読んでいて、そのことを知っていたはずなのに、うっかり夢を叶えてしまった。

 

僕は小さい頃からテレビが好きだった。番組表は新聞を見なくてもいいくらいに暗記していたし、1クールに放送されるドラマは全てチェックしていた。そして自然とテレビ業界で働くことが、僕の夢になった。結局その思いは就活の時まで変わることはなく、今年の春、僕は夢を叶えテレビ局員になった。

 

半年後、僕はテレビ局を辞めた。いま流行の早期退職というやつだ。いや、もちろん違う。ただ単純にきつくて逃げた。確かにキラキラした世界ではあった。有名人は頻繁に見るし、アナウンサーとは友達になれるし、給料も高い。けれどそれはやっぱり「一部」であって、仕事全体で見れば立派なブラック企業だった。帰る時に日付が変わっていることはしょっちゅうだし、夜中に電話もかかってくる。休日出勤も日常茶飯事で、ひどい時には休日の午前3時に呼び出されたたこともあった。入社してすぐの頃「体力には自信があります!」なんて言っていた僕も、最後の方には「この仕事地獄っすね、先輩なんで続けてるんですか?」と平気で言うようになっていた。

 

働き出して3カ月が経った頃、家でテレビを見ていると仕事のことを思い出して吐き気をもよおすようになった。それから僕はだんだんテレビが嫌いになり、最終的に家でテレビを見ることは一切なくなった。テレビ好きの僕にとって、それは何より辛かった。そしてこの時、僕は会社を辞める決心をした。

 

仕事を辞める決心をしてからというもの、働く前と同じような気持ちでテレビを見られるようになった。けれど同時に元々持っていた自分の中の「テレビ欲」みたいなものが低下していることにも気づいた。テレビの中に一度入ると、映る全てがやらせだということを知ってしまう。例えば街ブラ番組。あれなんて最初から入る店は決まっているし、店員にもあらかじめ台本が渡されていることが多い。ドキュメンタリーを謳う報道だって、取材対象者に仕事をしているフリをしてもらったり(インサートといわれるカットを撮るため)、言って欲しいコメントを引き出すために誘導尋問を何度も繰り返す。そんなことを知ってしまうと、「あ~このシーンは何回撮ったのかなあ」とか「このセリフを引き出すのにどれだけ質問したんだろう」なんてことばっかり考えてしまって、すぐに気持ちが冷めてしまう。そんなこんなで今はドラマくらいしか見ていない。ドラマは最初からやらせってわかりきっていて、冷める冷めないという感情とは無関係のところにある。もちろん撮影してる人たちの大変さは以前よりリアルに想像できるけど。

 

結局芥川の言う通り、夢は叶えちゃダメだった。だからこそ、もう僕は夢を叶えない。有村架純と結婚もしなければ、橋本環奈と付き合ったりもしない。有村架純なんて実際結婚したらメンヘラすぎて嫌いになりそうだし。ま、こんなに真剣に考えなくても無職実家住みニートの僕には到底無理な話なんですけどね!(こんな終わり方ですいません。文頭に気合入れすぎました。)